中村雅俊監督・出演
【あらすじ】
平凡なサラリーマン小林靖雄(西村雅彦)のもとに一通の手紙が送り届けられた。
「あなたは裁判員候補に選ばれました」
仕方なく裁判所を訪れると,数十人の裁判員候補が集合していた。その多くは,裁判員に選ばれることに対して消極的だ。靖雄も仕事の多忙などを理由に拒否したいと考えていたが,6人の裁判員の一人に選ばれてしまう。
裁判官と裁判員による評議が始まる。しかし,素人考えで他人の一生を左右することはできない。被告人に逆恨みされるのも怖い。評議の場は誰もが消極的で,議論は進まない。裁判員という制度そのものに疑問が向けられた時,裁判長(中村雅俊)が答えた。
「同じ社会に生きる人間として,問題を共有して考えることに意義があるんです」
靖雄たちは,裁判員として他人の事件に関わることの意義を感じ始めるようになる。戦前の一時期,我が国でも「陪審制度」が行われていた。60年以上の時を経て我が国で本格的な司法への国民参加を実現することになる「裁判員制度」。その概略をたどりながら,そこに参加するごく普通の人々を描く。