Q1 裁判員制度とはどのような制度ですか?
裁判員制度は国民の皆さんに裁判に参加していただく制度です。
裁判員制度は,国民の皆さんに,地方裁判所で行われる刑事裁判に参加していただき,被告人が有罪か無罪か,有罪の場合はどのような刑にするかを決めてもらう制度です。
Q2 どのような事件を扱うのですか?
国民の皆さんの関心の高い重大事件を扱います。
例として,以下のような事件が該当します。
- 人を殺した場合(殺人)
- 強盗が人にけがをさせ,あるいは,死亡させた場合(強盗致死傷)
- 人にけがをさせ,その結果,死亡させた場合(傷害致死)
- ひどく酒に酔った状態で,自動車を運転して人をひき,死亡させた場合(危険運転致死)
- 人が住んでいる家に放火した場合(現住建造物等放火)
- 身の代金を取る目的で,人を誘拐した場合(身の代金目的誘拐)
- 子供に食事を与えず,放置して,死亡させた場合(保護責任者遺棄致死)
Q3 どのような人が裁判員に選ばれるのですか?
衆議院議員の選挙権がある方(有権者)です。
ただし,選挙権のある方でも法律上,裁判員になることができない方もいます。
Q4 裁判員になれないのは,どのような人ですか?
次のような人は裁判員になることができません。
(1) 欠格事由
- 義務教育を修了していない人(同等以上の学識のある人は除きます)
- 心身の故障のため裁判員の職務の遂行に著しい支障のある人
(2) 就職禁止事由
- 国会議員,国務大臣,国の行政機関の幹部職員
- 司法関係者(裁判官,検察官,弁護士など)
- 大学の法律学の教授,准教授
- 都道府県知事及び市町村長(特別区長を含む)
- 自衛官
など
(3) 事件に関する不適格事由
- 審理する事件の被告人又は被害者本人,その親族,同居人 など
(4) その他の不適格事由
Q5 裁判員はどのようにして選ばれるのですか?
(1) 裁判員候補者の抽選
- 選挙権のある人の中から,翌年の裁判員候補者となる人を毎年抽選で選びます。
(2) 裁判員候補者名簿の作成
- 裁判所ごとに裁判員候補者名簿を作成し,選ばれた人には前年中にその旨が通知されます。
(3) 事件ごとに裁判員候補者の選定
- 裁判員候補者名簿に載った人の中から,対象となる事件ごとに裁判員候補者が選ばれます。
(4) 裁判所における選任手続き(質問)
- 選ばれた裁判員候補者の人に,裁判所から裁判員を選ぶための手続きが行われます。辞退希望がある場合の理由などについて質問されます。
(5) 裁判員選任
- 辞退等が認められた人を除外して,裁判員候補者の中から,くじ等によって,裁判員6名を決定します。
Q6 候補者名簿に記載されたら,必ず裁判所に行くことになるのですか?
対象事件ごとに行われるくじに選ばれなかった場合は,呼び出されません。
Q7 裁判員(候補者)は,どこの裁判所に行くのですか?
基本的にお住まいの場所の最寄りの地方裁判所です。
神奈川県は横浜地方裁判所・横浜地方裁判所小田原支部が対象の裁判所です。
Q8 裁判員・裁判員候補者に選ばれる確率はどれくらいですか?
神奈川県では,裁判員候補者に選ばれる確率は約1000人に1人,裁判員に選ばれる確率は約6~7000人に1人となっています。
Q9 裁判所に行く日のどれくらい前に,その日時を知らせてもらえるのですか?
通常は裁判の6週間前までには通知をします。
Q10 裁判員を辞退することはできないのですか?
基本的にはできませんが,法律で認められた事情がある場合は辞退することができます。
法律で定められた辞退事由
- 70歳以上の人
- 学生・生徒
- 重い疾病や傷害をお持ちの人
- 同居の親族の介護・養育が必要で,代わりの人がいない人
- 事業上の重要な用務を自分で処理しないと著しい損害が生じるおそれがある人
- 冠婚葬祭への出席など社会生活上重要な用務があって,別の日に行うことが出来ない場合
Q11 仕事が忙しいという理由で,辞退はできますか?
ご自身の不在により著しい損害が生じる可能性があると認められれば辞退可能ですが,忙しいという理由だけでは辞退は認められないことになっています。
Q12 自宅に要介護者や養育が必要な子供がいる場合,辞退できますか?
裁判所が介護や養育に支障を生じると認めた場合は辞退が認められます。
Q13 育児中に裁判に参加を希望する場合,どうすれば良いでしょうか?
保育所における一時保育等の保育サービスを利用して,裁判に参加することができます。
Q14 裁判員(候補者)として裁判所に行くために会社を休むと,会社内で不利益を受けませんか?
雇用者が解雇など不利益な扱いをすることは,法律で禁じられています。
Q15 交通費や昼食代などは支給されますか?
日当,交通費,宿泊費は必要に応じて支払われます。
なお,日当の具体的な金額は,裁判員候補者の方は1日あたり8000円以内,裁判員及び補充裁判員に選ばれた方は,1日あたり1万円以内です。
Q16 裁判員は何日ぐらい裁判に参加するのですか?
通常,3~5日間以内と見込まれています。
Q17 裁判員裁判は,1日何時間ぐらいかかりますか?
1日あたり5~6時間程度と見込まれています。
Q18 裁判が1日で終わらない場合,裁判員は自宅に帰っても良いのですか?
帰宅できます。
Q19 裁判員になったことを家族や親しい人に話しても良いのですか?
公表してはいけませんが,身近な人に話すことはかまいません。
Q20 上司に裁判員(候補者)になったことを話しても良いのですか?
必要(裁判員となることで会社を休まなければならなくなることなど。)であれば上司等に話してもかまいません。
Q21 トラブルに巻き込まれたりしないですか?
裁判員は法律で保護されています。
- 裁判員の名前や住所などの情報は,公にしてはならない。
- 事件に関して裁判員に接触してはならない。
- 裁判員に頼み事をしたり,裁判員やその家族を脅した者には,刑罰が科せられる(2年以下の懲役又は20万円以下の罰金)
- 守秘義務を課すことにより,裁判員等のプライバシーの保護やお礼参り等の防止を図っています。
なお,裁判員やその家族に危害が加えられるおそれがある事件については,裁判官だけで裁判をすることも法律で定められています。
Q22 裁判はどのような流れで進むのですか?
1.冒頭手続(法廷)
- 被告人の確認(人定質問)
- 検察官が起訴状を朗読する
- 被告人と弁護人から起訴状に対する言い分を聞く(意見陳述)
2.審理(法廷)
(1) 証拠調べ手続
- 検察官・弁護人が証拠により証明しようとする事実を述べる(冒頭陳述)
- 検察官や弁護人が提出した物や書類を調べ,証人や被告人に対する質問を行う(証拠調べ)
(2)弁論手続
- 検察官が事実関係や法律的問題などの意見を述べる(論告)
- 検察官が被告人に与えるべきと考える刑を述べる(求刑)
- 弁護人 が事実関係や法律的問題などの意見を述べる(弁論)
- 被告人が意見を述べる(最終陳述)
3.評議(評議室)
裁判員と裁判官が話し合い,有罪か無罪か,有罪の場合はどのような刑にするのか決める。
4.判決手続(法廷)
裁判官が評議の結果に基づき,被告人に判決を言い渡す。
Q23 裁判員は,法廷で何をするのですか?
裁判官と一緒に審理に出席していただきます。
Q24 評議では何をするのですか?
裁判官と一緒に被告人の有罪・無罪,有罪の場合の刑を決めていただきます。
Q25 法律の知識が無くても大丈夫ですか?
大丈夫です。日常生活で行っている判断をして下さい。
なお,法律知識が必要な場合は,裁判官から分かりやすく説明されますので,心配ありません。
Q26 評議では,必ず意見を言わなければいけませんか?
法律上,裁判員は,事件について裁判官と一緒に議論(評議)する際に意見を述べなければならないとされています。
ご自身が気づいたことを発言して下さい。
Q27 議論を尽くしても,全員の意見が一致しなかったらどうなるのですか?
多数決で結論を出します。
Q28 裁判員は,その事件に関するニュースや新聞を見ても良いのですか?
見ていただいてかまいません。
しかし,裁判員として判断していただく際は,あくまで法廷で示された証拠だけに基づいて判断していただくことになります。
Q29 見聞きした事実について話しても良いのですか?
法廷で見聞きしたことは話してもかまいません。
ただし,評議の中で誰がどのような意見を述べたとか,事実関係のプライベートなこと,裁判員の名前などを話すことは禁止されています。
Q30 どうして守秘義務が課せられるのですか?
裁判の公正と信頼を確保するためです。
裁判員を保護(プライバシーの保護,お礼参り等の防止)するためです。
ご意見・ご要望ページからお気軽にお問い合わせください。
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